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日本のインフレ相場

2022年06月15日
前回のアメリカのインフレ相場から引き続き、次は日本への影響を考えて見ます。

日本CPI
日本CPI

まずは現状の確認をしていきます、日本のCPIは低い推移をしております
前回の定義(5カ月0.7%平均)に基づくと日本ではまだまだインフレ相場にはなっておりません。
しかし、国内企業物価指数は5カ月平均0.7%を超えており、為替も影響を受けている可能性が高いです

企業間ドル円

最初に企業物価に関しては前回に記載した海外インフレ・資源高の影響で輸入業者は
インフレの影響は受けると考えられ、
また、円安が進み多くの企業が資産は円保有の為、購入時に円ベースで割高になって
しまう影響も考えられます、3カ月程ですが正しいか数字も見て行きます。

輸入4月は円ベース10.8%、契約通貨ベース5.6%
輸出4月は円ベース5.6%、契約通貨ベース1.6%
輸入3月は円ベース3.6%、契約通貨ベース1.3%
輸出3月は円ベース3.1%、契約通貨ベース1.3%
輸入2月は円ベース2.3%、契約通貨ベース2.1%
輸出2月は円ベース1.2%、契約通貨ベース1%

$・€など他通貨での契約ベースより円ベースの方が上昇率が高い為
円安の影響は出ていると結論付けます。
また、輸出より輸入の方が上昇率が高いのは4月寄与度をみてみると
石油・石炭・天然ガスが輸入寄与度4.55%(契約通貨)と
圧倒的で他も多少影響はありますが、エネルギー資源の影響が
多くを占めているとの結論付けます。

企業物価が上昇となると日本のCPIも上昇しても良いとの考えになるのですが
比較的落ち着いております。こちらの原因を考えて見ます

最初に寄与度の高いエネルギーを分析してみます
原油に関しては消費者が直接的に利用しているのがガソリン・熱源(発電/ガス)などです
ガソリンに関しては政府が元売り精製会社などに補助金を出して36円70銭抑制しているとの報告があります
補助金が無ければ206円50銭との事でこれを前提とすると消費者物価指数に与える原油影響も比較的抑えています
他プラスティックなどに関しては消費者物価指数への影響度などから割愛し、発電に関しては次に見て行きます。

資源として他にもLNG天然ガス・石炭がありどれも高騰してますが主に火力発電向けがメインとなっております
とすると電力価格が上がっていかと言われるとJEPXスポット価格は悪夢の2021年初に比べると低く感じる
電力は余り詳しくないのですが、新電力ネットの全国料金をみると季節性も含め緩やかには上がっている
ただ、そこまで急でないので企業側で影響が出ている可能性が高そうです。
少なくとも電力で消費者側に影響は大きくは出ていないので消費者物価指数にも大きく影響は出無さそうです。

エネルギー以外に関して
コアコア指数

消費者物価指数のコアコアCPIを見るとコロナ後のマイナス以降
ようやく4月にプラスになりました、となると生鮮食品・エネルギーを除くと
価格はほとんど上がって無い為、輸入で大幅に価格上昇した分は
今まで値上げ文化が無かった為かは不透明ですが、企業で影響を受け止めていることになります。

以上の事から消費者物価指数が現在上昇していない原因は
「政府の対策」「企業が止めている」のが要因との結論になりました。

今後については後ほど記載します。
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・為替影響

企業CPI上昇の原因になった、為替影響について考えて見ます
一般的に言われるのがキャリートレードなど他国との金利差が拡大する影響から
円が売られるとの推理です。

利益を得たい→金利が高い通貨で保有→金利上昇→買われる

確かに理論上は高い金利の方が利益が得やすいので考えられます
そこで各国政策金利を見てみます。

各国政策金利

1月から5月の上昇率順を見て、更に対ドルでの主要国為替を見ます(ドル円ではなく円ドル)

日本:0%
欧州:0%
スイス:0%
中国:0%
トルコ:0%
ノルウェー:0.25%
スウェーデン:0.25%
香港:0.39%
南ア:0.75%
米国:0.75%
英国:0.75%
豪州:0.75%
NZ:1.25%
メキシコ:1.5%
ロシア:2.5%

対ドル為替

ドルが強いと言われてますが、アメリカより金利を上げた国を見てみるとルーブル/ペソ共に今年上がっております
正直に驚いたのが主要国通貨でロシアルーブルが一番強いのか・・・
疑いたくもなるのですが、消極的事実の証明は難しいし現時点ではこの数字が出たのは事実なので
この数値を元に考えます。

また、豪州は同推移・ポンドは1割下と許容範囲かも
最後に利上げ無し派はトルコ-2割強、人民元-5%、ユーロ-8%弱、円-15%、フラン-8%
ばらつきがあります、バラツキはあるのですが傾向としては可能性は高いそうです

次にバラツキが発生している要因について人民元は元々の金利が高い為
影響もそこまで出なかったかも、でもトルコに当てはまらない
ロックダウンの影響やエネルギー資源の輸入高によるインフレ影響が余り無い
などの考慮もあるかも。CPIは年比で2%と丁度よい

ユーロに関してはECB利上げ観測も出ていたので今後の期待があるのか分からないが
円・トルコ程は下落していないも影響は少しはありそう。
そして、スイスフランがユーロ同等の下落になっているのは
中央銀行メクラー理事もインフレが続くなら引き締めすると述べてます

そしてトルコだが前年比でCPIが73.5%とハイパーインフレの国際基準が
3年間で累積100%以上の物価上昇なのでもう抑制は
デノミや固定通貨他大きな対策しないと難しいかも、
エルドアン大統領は利上げ否定してるし・・

と、言ってますがトルコの次に下落してるのが日本になります
日本は各国に比べインフレが落ち着いているので、利上げ
要因によるものが大きいかもしれません。
国債の0.25%指値オペを続けるとの発表もあったので
利上げは想定していなさそうです。

為替についてまとめると今現在の相場は
利上げを実施した国、もしくは今後する方向の国はある程度買われ
利上げできない国は売られると言う傾向があるとの結論になりました。

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●日本の金利上昇

為替で金利の影響があると結論付けましたが
日本の金利は今後上がって行くのか分析してみます

まず、ポイントですが金利と言っても政府が発行する
国債金利と日銀が決定できる銀行間の政策金利(短期金利)の
二つに分けて考えます。

まずは上げるとどのような影響が出るのか考えて見ます。

政策金利は中央銀行が決めますが現在マイナス金利となっており
黒田総裁は引き続き緩和を続けるとの事なので上げる可能性は低く
国債金利についても指値オペを続けると発言しており黒田総裁は
2023/4/8までが任期期間なので終わるまでは継続するのではと考えられます

・国債金利

国債金利についてもイールドカーブ・コントロールを実施しているので
長期金利短期金利共に抑えられて安定しています
(最近ちょっと長期上昇してきました)
こちらも黒田総裁任期中は解除しないと判断してます

後任が誰かは全く分からないですが、その後の金利引き上げの有無について
まず、国債金利の買い支えを実施するかしないかになるのですが
買い支えしないと国債金利の上昇に繋がり、政府が支払う利息が増えます
BSの財務も悪くなるのは分かりますが、それよりPLが大きく悪化すると考えられ
場合によっては税金などで補填させられる可能性もあります。

でも、今まで赤字垂れ流しで国債で補っているので
国債金利増で赤字額が増えると言うだけで、大きな影響は出ない可能性もあり
出るとしたらプライマリーバランス黒字化目標を進めるには
税金負担も考えられます、財務省との検討が必須ですね。

・政策金利

政策金利は中央銀行が一般銀行に貸付ける金利になります。
主に定期的に見直しが入る為、短期金利となり
日銀に預けている当座預金向けで基礎残高や政策金利残高等で
多少は変わりますが基本は政策金利を元に金利が決まっております。

ご存じの通り日銀の国債は引受けは、財政法第5条で禁止されてますので
民間銀行の国債を日銀が買い取ったり、民間銀行へ購入注文をしております
国債を買い取ると銀行が預金している日銀当座預金にお金が入ります
(日銀と取引していない銀行は準備預り金の口座)

そこで2022/5/27に発表された日銀の決算書を見て行きます

2022日銀決算書

今現在はバランスシート上で問題点を見る為、多くを占める
資産:国債526兆円、負債:当座預金563兆円を詳細に見て行きます

国債当座預金詳細

保有国債割合を見ると5年:19%、10年:39%、20年19%、と長期国債が多く、
短期も含めた国債全体合わせて金利が0.21%(1.123兆/526.165兆)程となっております。
長期国債ってところがポイントで国債長期金利が上昇しても
526兆の金利が上がるわけではありません。
償還での借換えでは影響受けますが時間がかかります

収入計:3.05兆円、支出計:0.632兆=税前利益:1.66兆(経常利益:2.41兆)

負債の金利負担についても見てみます
補完当座預金制度利息の支払いが1802億となり
全体では0.0319%となっております。
この中で政策金利上昇影響が出そうな超過準備額だけ見ます。

日銀超過準備額

日銀当座金利分1

日銀当座金利分2

超過準備額は480兆となっているので仮に政策金利0.1%上げて
当座預金全ての金利が0.1%上がるのなら、4800億の利息増加
前年度の利益が1.66兆:経常:2.41兆なので
0.35%上昇で赤字、0.5%上昇で経常ベースでも赤字です。

純資産が4.7兆あるのでそこも考慮すると前期税前純利益ベースで
0.5%上昇で2年で債務超過、1%上昇なら1年で債務超過になります。
なので赤字になるような利上げは出来ないと考えてます。

そこで日銀が債務超過になると影響あるの?を考えると

まず会社保有者なら分かるかもしれませんが黒字や一時的なら許容されそうです
過去の前例も見て見ます

・2015年 スイス中央銀行 債務超過

いわゆるスイスショックです介入断念による為替差損で発生しましたが
スイスの場合はフラン高による影響なので自国通貨売り→外貨買うの介入になるので
通貨の信認の毀損にはならなそうです。

・ベネズエラ、ジャマイカ、アルゼンチン、チリ、インドネシア他

逆のパターンで通貨安から債務超過が発生すると高率のインフレーションが発生しているが
チリに関しては1997年~2000年に債務超過になったがそこまで高いインフレには陥っていない
1997~1998年のインドネシアもそこまで高いインフレには陥っていない
どちらにも言えるのが財政緊縮・・、IMFプログラムを受けたりと住んでいる身としては辛い・・

しかし、上記と大きく違う点もあり
それは負債が100%日本円と言う事で、主に国内の金融機関・個人から借りてます
と、なると信用棄損が発生するかは前例が無いので不明です。
政策金利を再度下げれば黒字になったり、預金封鎖など実施すれば
債務は急激に減ったりもでき、国がコントロール可能な状態だからです。

それでも債務超過はドルでの支払いを求められたり
高インフレに繋がる可能性もあるので危ない橋は渡らないとの結論にしております。

●債務超過回避

では債務超過を回避するには方法は何があるか考えたところ

・国債YCC継続/政策金利を上げない
・長期国債の利上げ容認/短期の政策金利は維持
・長期国債の利上げ容認後/政策金利も赤字にならない程度利上げ
・財務健全化&国債利上げ
・預金封鎖&徴収

流石に預金封鎖は無いとは思う、以前まとめた記事
現状維持だと円キャリートレードから円安に急激に進みそうです
また、長期国債の利上げ容認は十分考えられます
現在は10年債を0.25%で指値オペを実施してますが
民主党時代は1%超えしていたのでそこまでは許容は出来そうです
まあ、黒田総裁の任期終了してからかもしれません。

黒田総裁任期は現状維持で
単独為替介入は可能性的にはありそうです
ただ一時的と思われますが。

●まとめ

結局は任期が終わるまでは金利は変わらない
もしくは国債指値が少し吊り上がる程度かなと考え
円安トレンドは続くとの結論になりました。

また、輸入側でインフレが発生しているとの事で
円安を除くと資源関係の影響が多くを占めるので
日本でのインフレは海外要因との結論で
今後のインフレは資源系&外国金利の動き次第になりそうです。

その後、為替介入YCC修正と黒田総裁時に動きました
インフレは収まったが、円高に傾いてます
そして、大事な赤字状況についてですが
FRBが先に赤字になりそうです、となると
日銀も赤字水準まで利上も実施出来そうです。

次回は資源系特に主力の原油について記載してます。

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※その他資料

60年為替

為替については判断が難しく感じます、何せ1970年頃まで固定相場だったので
ドル高安の判断検証は難しそう、固定相場が解除されたらドル安になっているが
金利差を見る必要がありそう

各国金利

金利60年

金利差で見ると、1960年-1980年ほどまではアメリカの金利が低かったです
特に1970~80までの英国との金利幅が大きくなっています

日本とは1970年まで米国金利が低くて1980まで同じくらい、以降日本の金利の方が低くなってます

・日本不動産
日本不動産

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