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アメリカのインフレ相場

2022年06月09日
現在資源高・コロナ抑制からの反発、緩和策で一部でインフレが起こっていると感じます
そこで過去のインフレ相場を検証してみます。

まずインフレ相場の定義&時期について考えます
CPI前月比で5カ月平均が0.7%以上とし解除は3カ月連続で0.5%を下回ったとします
(数字の決め方については上記の数字なら大よそ一般的に言われるインフレ相場の
範囲に近い為、上記の条件にしています)

範囲は1973年~1975年末、1978年~1981年末までになります。
そして2022/3月に発表したCPIでインフレ相場に突入しました。

・アメリカCPI (前月比)
CPI_M3.png

次に今もしくは今後インフレ相場に入るのかを考えて見ます
月次CPIだけで見るとちらほらありますが、継続0.5%超えはあまりなく
1%超えも考慮にすると直近2005/9月はハリケーンの影響、その後12月は-0.5%と戻している
また2008/6月インフレはエネルギー高と今回に似ているがリセッションにより大幅低下

CPIで判断すると利上げも含めてのリセッション入りして
2008年同様落ち着く可能性も考えられるのですが、
ただ、今回2008年との差として注目しているのが2点あります。

①賃金・給与上昇率

・左上がアメリカ賃金上昇率、右上がアメリカ求人数、下が失業率
US賃金

1980年頃から長期的に見て下げトレンドだったのが
一気に暴騰してデータ上の過去最高15%超えです
常識的に考えて給与が上がれば消費も活性化してインフレも発生する
との、イメージです。
また、関連する失業率と求人数数値が高く需要はまだ高いままです

2008年に関しては求人・給与・失業など雇用に関する項目は
比較的例年に近い数字で変化は余り感じられませんでしたが
2022年では過去最高を記録したりしてます。

求人数も暴騰、失業率も過去最低レベルとフィリップス曲線に当てはまりそうです

②グローバルサプライチェーン

サプライチェーン
※NY連銀が発表したグローバルサプライチェーン圧力指数です

NY連銀がこのタイミングで2022年に発表した
グローバルサプライチェーン圧力指数を見てみると、こちらも高騰しています
2008年はサプライチェーンの混乱は余り見受けられなかったので
こちらの指数も非常に重要しております。

なぜグローバルサプライチェーンの混乱がインフレになるかを簡単に言うと
グローバル化で安い国から製品を輸入すれば安くなる為で
ロシアなど色々な面で安い物を手に入れられ無くなれば
値段が上がり、またチェーンが切れたら別の場所と繋ぐまで
製品の生産が減少するのでインフレに繋がるとの考えです。

止めはマネーストックとマネタリーベース

マネタリー系

元々根源とも考えられるのですが、マネタリーベースは
2008年:847000(百万)→2020コロナ前:3454500(百万)→5885200(百万)
2020年コロナ前:1543(10億) → 7143(10億)

見るとわかるのですがM1は、そり立つ壁状態です

以上の事から、インフレになると言うかここまで条件が整ってるので
逆に来ない方がおかしいのではとも考えております
なので結論から現時点ではインフレはかなりの確率で来ると判断しました。

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・インフレが来ない可能性

インフレが来る事しか言ってませんが、来ない可能性も考えてみます
主に過去のインフレが収まる原因と考えられるのは中央銀行の政策金利引き上げです

政策金利が上がるとなぜ落ち着くかは購買力や
クレジットによる消費が行われにくくなるなどです。

となると、リセッションが発生し景気後退がインフレを抑えます、
現に2008年のCPI上昇後に大幅なリセッションが来て一気に前月比マイナスまで落ちました
他の要因はサプライチェーンが回復、原油価格の下落なども考えられますが
基本の金利について次は考えて見たいと思います。

金利と言っても国債金利、政策金利等ありますので両方から見てみます

US金利

まず政策金利については
1970年~1972年にリセッションで金利を下げてます9%弱→3%強
1972年~1974年中旬まで3%強→12.5%程まで一気に上昇しております。
1974年中旬~1976年までにリセッションで5%まで下げてます
1976年~1978年まで5%~7%の範囲で比較的落ち着いております
1978年~1981年に7%→19%近くまで上昇となります
その後リセッションに入り金利低下で安定していきました。

国債金利も見てみます(10年国債)
1967年~1970年に4.5%→8%まで上昇してます
1970年~1971年末に8%→6%に下げました1972年末まで変わらず
1973年~1975年中旬まで6.5%→8.5%まで上昇
1975年中旬~1977年まで7-8%で安定
1978年~1981年中旬まで8%→15.84%まで上昇

国債については1点気になる事がありました
1年金利と10年金利を比較して1981年以降は発生していない
長期金利を超えた短期金利の大幅上昇が見受けられ
逆イールドどころではなさそうです

1969年に1%の乖離差、1970年は落ち着き
1973年~1974年に1.5%程の乖離差、1974年末落ち着き
1978年末~1980年初まで1.5%~3%の乖離差、1980年中旬落ち着き
1980年末~1981年中旬まで1%~2.5%の乖離差、1982年落ち着き

考えられるのは短期金利は長期金利に比べ政策金利に近い動きを
すると考えており、政策金利が10年国債を大幅に超えた金利になっているので
政策金利の影響との結論としてます。

次にCPI(前年)と政策金利との乖離を見てみます

1973年~1975年末 CPI:4%→12.3%→7.5% 金利:5.5%→12.5%→7.5%
1978年~1981年末 CPI:7%→14.8%→9.6% 金利:7%→19%弱→13%

まず、本格的なインフレ相場時はFF金利の方がCPIより高いと言う事です
逆に言うとCPIを超える位の利上げをしないと落ち着かないかもしれません
なので金利面で見ると現在ではかなり低い状態です

しかし、問題があります。
政策金利を長期国債より高くしたとしても、どのタイミングで収まるかは不明です
現に政策金利が国債より高い時が1年続く場合もあります。

となると、金利に関してはあくまで要因の一つで
もう一つ考えられるリセッションによる影響の方が大きいかもしれません。
1974年~中旬までを抜かすとリセッション期間によるCPI(月別)指数に
影響がありそうな感じに見受けられます。

リセッションとはGDP四半期が2連続で減少する事を定義にしてますので
四半期GDPも見なければなりません。

アメリカGDP

2022年1~3月はマイナスです、4月~6月もマイナスだとリセッション入りで
CPIも一時的に落ち着く可能性は考えられます。

マイナスの原因を考えて見ると、輸出入の影響、前四半期の反動・在庫投資も前期に積み増した影響
4-6月はウクライナ情勢の影響、中国ロックダウンの影響、インフレ影響なども出てきそうで
下げる事もありそうです、つまり次の指標を見て見ないとわかりません。
米国決算を監視しまくって、GDP予想の先回りするのが最も早いやり方かもしれません。

念の為、名目GDPも見て見ます
名目GDPUS

1970年代は問題なく右肩上がりで殆ど変化が無いので
物価上昇を考慮にした実質GDPの方が資料としての有効性はありそうです。

個人的なまとめとしては4-6月実質GDPを見てリセッション入りしたかどうかで
判断をする事にしました、それまではインフレ方向で考えます。

・リセッション後の動き

精度的に落ちますが更に先を考えて来ます
1974年からのリセッションによって、1975年中旬から1977年末まで
高いですが許容できる範囲には収まってきて安定していました。

しかし、1978年頃から前回を超えるインフレ相場に突入して行きました
多くの場合は原油価格引上げが要因と言われてもいるが
個人的な結論としては1977年5月の
ロンドンサミットでの機関車論などが要因との判断です

つまり再度インフレ相場になった原因はインフレがある程度の高さで
保っていたところに緩和方向へ向かったからとの結論です

なのでインフレ率の高さ水準と緩和に向かう時期で判断します。

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・インフレ相場時の投資

ここからが実際の取引への分析になるのですが
主にインフレ・金利影響で動く、為替・原油・金価格・不動産について考えます
今回全体を見るのではなくその年事に分けて分析します

●1973年

1973年の中旬から本格的なインフレ相場に入ってきました
主な原因と考えているのがニクソンショックの金交換停止になります
また、ご存じ1973年10月6日から第四次中東戦争によるオイルショックが発生しました。
ここはポイントですが原油の引き上げが行われるまでは
対インフレで原油価格はそこまで優位ではありませんでした
そして11月から長いリセッション入りです

以上の事を前提に各市場を見てみます

1973年相場

NEM1973.png

CPIは10月前から高い水準でしたがオイルショックで拍車をかけました
NYダウはインフレ圧力による低迷が続いていて、
国債金利が下げに転じた辺りに一時的に上げたが
10月からは急激に下がっております。年利:-17.53%

原油銘柄も比較的NYダウに連動した株価水準なので低迷してます
1973年はインフレの恩恵が余り原油になかった為との考えです

唯一金利上昇と相関して上がって行ったのは金価格で、
そこで唯一チャートがあった金鉱銘柄を見てみると
年単位で見ると上昇していますが、動きはNYダウに近いです

少し悩ましいのが金価格が上昇したのは行き先が無くて金に向かった可能性があり、
現在は原油も変動相場となり資金の向かい先の多様化も考えられます。

●1974年

年間を通してリセッション入りでした。

1974市場別

CPIを見ると1974年1年を通して上昇率が高いです
前月比0.5%以下がありません。

となると気になるのが金利ですが、1974年初旬から一気に短期金利が秋すぎまで上昇してます
そして金利高につられてNYダウは下がり-27.96%となっています。
年末頃は金利が下がって来たのですが、株価は調子がよくありません
原油銘柄も同様、NYダウにつられて下がって行っております
金鉱株のニューモントも同様に13.77→7.56と大幅に減っております

兎に角、金利が上がっても厳しい、下がってもインフレで厳しいと
株価に関しては厳しい環境です
その中でも金価格については強い上昇をしておりました
前年とは違い短期金利が下がると金が上昇して
金利が上がると下落もしくは横横となってます。

過去を参考にするとインフレ時のリセッション入りは
空売りかGOLDを保有するのが良さそうに見受けられます。

●1975年

その後の1975年も見てみます、ようやく3月にリセッションから回復

1975市場

CPIを見ると遂に収まって来ました4月発表では0.5%を下回り落ち着いてきたように見えます
今まで強かったGOLDは反転して下げトレンドになりました
ポイントは年初から短期金利が下がっているにも関わらず下げたと言う事は
やっぱりインフレ圧力で買われていたのが分かります。

そしてNYダウ+34.87%と大幅プラスになったので
金鉱株・原油銘柄変わらず上昇して行きました。

恐らく多くの人がこれでインフレ相場が終わったと思ったかもしれません
今後更なるインフレ相場が来るとは考えてなかったかも。

●1977年

この年の5月にロンドンサミットが開かれました
マネーストックM1も僅かに上昇に反転していますが本当に僅かです

1977市場

CPI(前月比)は0.5%で安定しております、それでも0.5%なので比較的高めにはなります
しかし、NYダウを見ると-16.86%と下げています、つられてインフレ銘柄も下落しております

金利については短期金利が77年初から上がって来ました、
株価が下がって来たのは金利の影響と考えられます。

インフレも落ちついて、金利も上がっているのでGOLDも上がって無いのでは
と思いましたが、GOLDが上昇してます。
避難先になってるっぽいですが、
今より金本位制の名残からか金に向かう感覚があるのかもしれません
もしくは0.5%前後はまだインフレ相場との判断から流れるのか。

●1978年

年末頃にOPECでの値上げが決定、原油価格は後半上昇

1978市場

CPIが怪しくなって来ました0.5%未満が無くなりました
インフレにつられて短期金利も上昇して、逆ザヤになってます
しかし、まだ判断が難しい為かNYダウは横横で終わってます

一部のインフレ銘柄については上昇しております
そしてGOLDは去年に引き続き上昇しています。
有事の金と言うよりインフレの金の方が表現が良いかもしれません
11月にガクンと落ちているが何が起こったんだろう、
しかし年末にかけて戻してきてます

●1979年

1979年1月にイラン革命が発生で石油生産停止、1978年末に決定していたOPECが1,4,7月に引上げ
第二次オイルショックは省エネの浸透などで一次程の経済混乱は無かった
原油価格は1979年末~80年初に高値をつけた後、その後緩やかに下降

1979市場

CPI(前月)は平均1%程と高インフレ相場へ、にも関わらず国債金利は秋まで比較的落ち着き気味
株価も秋まで落ち着き気味、金価格も秋まで比較的緩やかな上昇
インフレが進んでいる状況で秋までFF金利が余り動かなかった事が要因と考えており
秋から一気に金利上昇へ舵を切りました、8月:10.94 → 翌年4月:17.61

で、秋からの動きを見て見ます、CPI変わらず、株価下落もその後落ち着き
国債金利急上昇もその後比較的落ち着く、資源株も一時下落も落ち着き
金価格は秋から急上昇となってます。

落ち着いた要因を考えてみると、国債金利が急上昇し過ぎて
その後、調整なども含めて落ち着いたか
アメリカの景気急後退、省エネ浸透で余り混乱が起きなかった、79年~80年冬が暖かったなどが考えられます。

経済混乱が余り無いなかで、景気後退・気候で消費が急激に減少した影響と結論にします。

●1980年

1980年は原油は高値止まりで下げも余りせず
1月~7月までリセッション入り、かなり短い期間です。

1980市場

CPIは初旬に高値でその後緩やかに減少、8月は急激な下がり
株価も初旬は下落してその後上昇に転じてプラス
資源株も全体の株価につられて調子は良い

国債金利に関しては初旬高値つけた後に一気に低下してまた年末にかけて上昇と
かなりボラティリテイが高いです。
金利につられて金価格は初期に高値を付けたあと下落、秋頃に上昇したが年末までに下げ。

ポイントは高インフレ&高金利なのに株価が上昇した事
国債金利の減少から反転していますが、年末の利上げに影響度が低下してます
インフレの減少が見られた5月発表のCPI前後から回復した様にも思えますし
投機筋の資金が株価に向かって行った可能性もありますがデータが無い

結論としてはCPIの成長減少が始まったからとの判断にします。

●1981年

原油価格は下落、去年からの流れだとインフレ成長縮小トレンドから
個人的に株式に向かいそう。

1981市場

CPIは11月発表で0.3%とようやく収まるがそれまで0.8%近くの高値推移
去年の時点でまだ収まっていなかった、金利も初旬は落ち着いていたが
まだ退治できていないと見て金利上昇高値更新となった、
その後秋から金利下降に転じる。
株価は金利上昇につられて6月頃から下落へ、他資源株も下落だが
リセッション入りのインフレ後退懸念からか下落は指数より大きい
更に金価格も下落、現金はインフレから実質マイナスと逃げ道は殆どなさそう。

唯一、リーマンショックでも逃げ場になった
債権が逃げ場に良さそうだが信用出来る債権価格データが見つからなかったので
あくまで推測どまり。

●1982年

1982市場

CPIは夏頃に瞬間上がったが、ようやく収まった。
以降30年に続く低インフレ時代へ、金利も夏頃から低下傾向
それにつられて株価も上昇、しかし資源株は今一つ、金鉱株は上がったが
金価格が夏から上昇した影響も考えられる。

1982年以降は株価も堅調でインフレは落ち着いた動きとなった

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まとめると
最初のインフレ相場時は対策も行っていない為、混乱が発生し
株価指数同様、資源株も売られました。
金利は基本上昇して行き、資産の逃げ先として金に向かう動きがありました。

その後、リセッション入りによりインフレ後退・金利低下・金価格低下も
株式は比較的強く推移していきました。

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その他、参考データ

商品

下グラフの赤がドル原油価格、青が円原油価格です

原油は1970年10月に中東の産油国が原油価格70%値上げをしました。

・住宅価格中央値
US住宅価格中央値

・金価格
金価格

・石油主力4銘柄
原油銘柄株価

・原油4銘柄比較グラフ
原油銘柄比較

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